無理を言った理由~産業カウンセラー協会様 研修報告~

10/28(土)に、産業カウンセラー協会北関東支部様で、LGBTに関するオンライン講座を担当しました。講座タイトルは「職場とLGBT~誰もが働きやすい職場へ~」です。

1.無理を言って開催していただきました

実は、今回の研修は中止になるはずだったのです。恥ずかしながら、研修のお申し込みが最低催行人数に達していなかったためです。本来ならば中止を受け入れ、どのような点が至らなかったのか振り返り改善すべきところなのですが、今回私は無理を承知で開催のお願いをしました。

その理由は、昨今のLGBTを取り巻く状況にあります。今年6月に「LGBT理解増進法」が施行され、10月には性同一性障害特例法の規定について最高裁は違憲と結論付けました。どちらも多様性を尊重する社会を目指す上で一歩前進と言えるかと思います。一方で、これらの事によって対立や分断が激化している現実があります。例えば「女性対トランスジェンダー」「マジョリティ対マイノリティ」といった対立構図です。
様々な意見があるのは当然のことではありますが、この対立には「多くの誤解」が存在していると考えられます。誤解なく健全な議論を進めるためにも、また、相談支援の場にいらっしゃる産業カウンセラーの皆様にLGBTの正しい情報を提供するためにも、今回の研修は開催していただきたいとお願いをしました。私のこの思いを北関東支部様はくみ取っていただき、開催に至りました。

2.どのような誤解が存在するのか

現在、SNSを中心にLGBTの方々について様々な意見が飛び交っています。その中で誤解と言えるものはいろいろありますが、「LGBT理解増進法」に関したものを挙げると「LGBTへの差別を禁止する法律ができた」という誤解です。例えば「公衆浴場に自認する性で利用する人(身体が男性の人)が押し寄せ、それを禁止したら差別になる」という懸念です。

この懸念には何点かの誤解が存在します。
1点目として「LGBT理解増進法」は理念法であり、差別禁止法ではないということです。これは、条文第一条「目的」を読めば明らかです。確かに、第三条に「不当な差別があってはならない」との文言がありますが、それは基本理念として掲げられているもので罰則があるわけではありません。2点目として「性自認が女性であれば身体が男性であっても公衆浴場の女風呂に入って良い」と解釈できることは、どこにも書かれていないということです。3点目は「性自認」についての捉え方の誤解です。性自認とは一時的な気持ちではありません。例えば「昨日まで自分は男性だと思っていたけれど、今日は女性になったような気がする。だから女風呂に行ってみよう。」ということはないのです。当然、性自認を偽って女風呂に侵入しようとすればそれは犯罪です。そして重要な事は、その人はLGBT当事者ではないわけですから、LGBTの方々にもLGBT理解増進法にも何ら関係がないという点です。

もちろん、このLGBT理解増進法ですべてが解決するわけではなく今後議論を重ねなければなりません。ただ、議論や意見を主張する前に、議論の対象を良く知る必要があるのではないでしょうか。これらについては、改めてブログで取り上げたいと思います。

3.研修内容・参加者の感想

今回の研修では「職場での施策」をテーマにしていますが、まず施策を考える上で必要な知識や情報をお伝えしました。受講者の中にはまさに職場において施策に取り組もうとしている方もいらしたので、皆様とディスカッションしながら施策を考えていく時間を多くとりました。職場によって環境や課題が異なるので、現状をお聞かせいただき私も参考になりました。

<感想をお寄せいただいた皆様、有難うございました。>
■図式や統計情報が盛り込まれたテキストととても分かりやすい説明で大変学びやすかったです。
■具体事例を挙げてくださったり、基礎知識の乏しい私の質問に丁寧にお答え下さりありがとうございました。実務に生かしていきたいと思います。
■今まで受けたLGBT関連研修の中で、最も詳しく丁寧な説明であったと思います。

来年度も開催が決定しております。日時とテーマが決まりましたら、こちらのサイトでお伝えいたします。

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